第27回国際瞳孔学会 開催要項

国際瞳孔学会とは


瞳孔研究に興味ある方々の参加する広領域な分野にわたる、国際会議である。

特異的な点は「瞳は外から見える、自律神経の影響が直視下にわかる」ということである。最近の電子機器とくに、computer 技術の進歩により、優れた正確な瞳孔計測機器が出現してきた。日本もその一翼を担っている。

瞳孔は大きさで診たとしても、薬物の影響、精神状態、脳神経系の機能を代表する大きな因子であること、ダイナミクス特に入力ー出力系の正確な運動は、servo-mechanism研究のよいモデルとなる、engineerの人たちが興味をそそられる領野である。

また臨床的には、大きさ測定に加えて光を当てたときの反応、大まかには縮瞳系は副交感神経、散瞳系は交感神経の異常有無の追及に、さらに、無反応に移行して行くときの生死の判定、denervation supersensitivity状態の時の低用量曝露過敏性薬物反応などが応用されている。

反応の分析は、他の自律神経検査例えば心電図R-R間隔分析や、末梢血管の循環動態測定と瞳孔反応とのすり合わせ等臨床への応用も尽きざる興味に満ちあふれている。

海外では、この領域は医師のみでなく、多くの心理学者、精神関係関連業務の人達が多数参加している。

また、最近では、瞳分析による個人の識別は勿論、環境化学物質とくに低用量曝露等による身体影響のindicatorの1つとして、また、労働医学の面から、疲労と瞳孔、睡眠・傾眠と瞳孔反応変化など、分析機器技術の進歩からその研究は枚挙にいとまがない。

これら現代でも非常に興味ある領域の学会に世界の一流専門家が一同に会して行うPupil Colloquimはまさに、時代の最先端を行く学会であると考えても過言ではなかろう。

それ故、本学会は既に50年の歴史があるという点もご理解いただける事と思う。

石川 哲(北里大学医学部 名誉教授)Satoshi Ishikawa M.D.